灼熱の稲佐山の上。それでも、木陰は涼しい風が吹き抜けていた。
スーパーで売っている何気無いお弁当の「トルコライス」が無性に美味しい。充分過ぎるほどの水分と栄養が命綱。解熱用の冷却ジェルシートも身体に蓄積される熱と戦ってくれる。
流れる汗は川の始流の様に集まって落ちる。
空は青く、ロープウエイが雲に映える。
動きたくないはずの身体は、それでも手だけは必死に動かして団扇で風を作る。
陽射しを防ぎ、汗をタオルでせき止めながら、開場を待つのである。